会場の雰囲気と設営前夜
前日から会場入りしたんだけど、ビクトリアの田舎町の広大な敷地にステージがいくつも組まれていて、すでにフェスの空気が漂ってた。俺たちのステージ3はメインステージから少し離れた林の中みたいな場所で、地面は土と芝生が混ざった感じ。設営中はけっこう風が強くて、パレットの廃材を使ったロボット型のステージが揺れないか心配だったけど、Christianが骨組みをがっちり固定してくれて一安心。
夜になって照明のBad Idea Factoryがテストを始めると、木の隙間から光が漏れて、ロボットの目玉みたいな部分がゆっくり点滅し始めた。昼間は無骨な木の塊だったのに、ライトが入ると急に生き物みたいになった。まだ誰もいないステージの前で、音響チェックをしながら「明日はここで何が起きるんだろう」ってワクワクしてたのを覚えてる。
リハーサルと機材トラブル
当日の朝、リハーサルは朝9時からだった。オーストラリアのフェスは朝が早い。俺たちの機材は基本シンプルで、DJセットとエフェクター数台、あとはChristianが作った木製の打楽器みたいなもの。でも電源の引き回しがうまくいかなくて、途中で音がブツッと切れるトラブルが2回続いた。現地のPAスタッフが走り回って、最終的に発電機を別系統に切り替えて解決。Christianはその間も落ち着いて、木の表面にヤスリをかけて微調整してた。
リハ自体は30分で終わる予定が1時間半かかったけど、そのおかげで本番の流れを身体に叩き込めた。特にラストの15分でやる予定だった、木の廃材を叩きながら回すパートは、音の抜けが良くて気持ちよかった。あと、この時間に初めて対面した現地ボランティアの女の子がすごく気さくで、水を何本も差し入れてくれたのを覚えてる。
本番ステージの熱気と観客の反応
本番は夕方17時から。昼間は6000人以上がメインステージに流れてたけど、夕暮れとともに俺たちのステージ3にも人が集まり始めた。客層は若い子から地元のおじいちゃんおばあちゃんまで幅広くて、ロボット型のステージに近づいて写真を撮る人が絶えなかった。俺たちがプレイを始めると、最初は遠巻きに見てた人たちが徐々に前に出てきて、気づいたらステージ前はびっしり。木の暖かい音とエレクトロニクスの冷たい音が混ざる感じが、あの林の中にすごくマッチしてた。
特に良かったのは、Christianがライブ中にパレットの端材をその場で割って、新しい打面を作り出した瞬間。観客から「おおっ」って声が上がって、そこから一気にテンションが上がった。照明のBad Idea Factoryも負けじと、ロボットの口の中から煙を出したり、目からレーザー光線みたいな細い光を飛ばしたり。最後の30分は完全にパーティーで、知らない人同士が肩を組んで踊ってた。あの雰囲気は忘れられない。
フェス全体の印象と撤収作業
夜が更けると他のステージの音もだんだん大きくなって、会場全体が一つの生き物みたいに響いてた。メインステージではオーストラリアの有名なバンドが演奏してて、その音が林の向こうから聞こえてくる。俺たちの出番が終わった後もステージ3には人が残って、DJが繋いで即興セッションみたいな流れに。Christianは疲れた顔しながらも嬉しそうで、「またやりたい」って何回も言ってた。
撤収は翌日の朝。機材をトラックに積み込む間に、会場に落ちてたパレットの破片をいくつか拾って記念に持って帰った。ステージのロボットは解体せず、そのまま現地のアート作品として残すことになったらしい。あとで聞いたら、フェスの後も数週間はあの場所に立ってて、地元の人が写真を撮りに来てたんだって。6000人規模のフェスの中で一番小さなステージだったけど、一番アットホームで、一番記憶に残る場所だったと思う。



